炭水化物抜きダイエットというダイエット方法が、何年か前に流行りました。効果が目に見えて痩せられることからTVや雑誌などメディアでも取り上げられて、実践している人も多かったですね。
しかしその後、医師など専門家からもこのダイエット方法の危険性が指摘され、実際に健康被害が出たという人も少なくないようです。
それでも、「痩せられる」ということは体形の気になる人たちには魅力的なようで、今でも実践してる人もいらっしゃるようです。
そんな方たちに、
- 炭水化物抜きダイエットの危険性と、
- オススメできない理由、
- それでもやるなら正しい(危険の少ない)やり方で、
ということをお伝えするサイトです。
炭水化物抜きダイエットについて
このダイエット方法は、「炭水化物さえ摂らなければ、あとは何をどれだけ食べても良い」という、とても簡単で夢のようなやり方です。
ご飯や甘いものが食べられないというのは少々キツいですが、他のものならお腹いっぱい食べられるので続けやすい方法ですね。
やり始めると実際に体重が落ちて効果が目に見えるので、高い人気があるようです。
しかし実際はとても危険なダイエット方法で、5大栄養素の一つである炭水化物を抜くことで体に様々な不良を起こしてしまいます。炭水化物という栄養素は他の栄養素と同様に、「体にとって必要なもの」なのです。
また肌や髪の美しさも失い、挙げ句の果てには太りやすい体質になってしまうという副作用を併せ持っています。
炭水化物とは何か
米や小麦など穀類、ニンジンなど根菜、果物、もちろん砂糖にも多く含まれる炭水化物。
そもそも、炭水化物とは何なのでしょう?
炭水化物は「糖質」と「食物繊維」
「炭水化物って糖質のことでしょ?」それでほぼ正解です。
が、もう一つ、「食物繊維」も炭水化物に含まれます。
- 「糖質」は炭水化物。
- 「食物繊維」も炭水化物です。
「糖質」は主に体内でエネルギーとして働きます。ブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)が有名ですね。特に、ブドウ糖は脳や血液(赤血球)で使われるエネルギーですので、不足させてはならない栄養素です。
「食物繊維」には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。糖や脂肪の吸収を穏やかにしたり、余分な脂肪を絡め取って身体の外に排出する手助けをしてくれます。腸内の悪玉菌を減らすことにも役立ちます。
炭水化物は5大栄養素の一つ
炭水化物はタンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルとともに5大栄養素の一つに数えられ、生命を維持する上で欠かしてはならない重要な栄養素です。
炭水化物:脳や赤血球の主なエネルギー源。筋肉や臓器などのエネルギーとしても使われる
脂質:筋肉や臓器のエネルギー源として使われる。脳や赤血球のエネルギーとしては働けない
タンパク質:肌、臓器、筋肉など身体の殆どを構成する物質
ビタミン:栄養素の働きを助ける
ミネラル:身体の調子を整える
ブドウ糖の役割
炭水化物(糖質)を摂取すると体内でブドウ糖などに分解されます。
ブドウ糖(グルコース)は血液の流れに乗って体中に運ばれて、エネルギーとして使われます。
使われなかったブドウ糖は、「脂肪」として体内に貯蔵されます。
ダイエット効果
炭水化物を抜くと、どうして痩せるのでしょうか。
太る原因の「糖質」を摂取しない
まず、なぜ太るのか?というと、食事から摂取したエネルギー(カロリー)は体中で消費されますが、余った分は「脂肪」などに変換されて、溜め込まれます。つまり摂取カロリーが消費カロリーより多いから太る、という訳ですね。
この「摂取カロリー」の60%を占めるのが、炭水化物です。
いつもの食事から炭水化物の多い食材を抜くだけで、摂取カロリーを半分に減らせてしまうわけです。
まず「筋肉」が減る
炭水化物抜きダイエットをすると最初に減り始めるのは筋肉です。
筋肉にはその7割もの水分が含まれているため、筋肉が少し減るだけで水分も大幅に減少し、体重がみるみる減っていくのです。
炭水化物抜きダイエットを始めると、2~3キロはすぐに落ちます。しかしその大部分は「水分」であり、大切な「筋肉」です。
体重計を眺めてニヤニヤしている場合ではありません。
副作用があります
このダイエット方法は危険とお伝えしましたが、それはいろんな副作用があるからです。
脳が働かない
炭水化物は脳で使用されるエネルギーです。不足すると脳が働きません。
頭がボーッとしたり、悪い場合は脳機能障害を起こしてしまいます。また、イライラしてストレスが溜まります。
お肌や髪も栄養不足に
またエネルギー不足の解消のために、脂肪からだけでなく、体の中にあるタンパク質からも分解してエネルギーを得ようとします。
そのためタンパク質でできている肌や髪は十分な栄養を得ることができず、美しさを失ってしまいます。
もちろん肌や髪など「目に見える部分」だけではありません。私たちの身体は、水分を除けば殆どがタンパク質でできています。
たとえば臓器を修復したい・・・でもその材料であるタンパク質が足りていない状態・・・怖いですよね。
生命の危機、ケトーシス状態に
炭水化物を食事から抜くとブドウ糖が不足し、脳が働けなくなります。もし脳が停止したら、死んでしまいますよね?
この危機を回避するために、脂肪から「ケトン体」という物質を作り出します。ケトン体は脳のエネルギー源として使うことができるので、これでなんとか命をつなぎ止めることができます。
問題はこの「ケトン体」です。
ケトン体が血液中に多い状態を「ケトーシス」といい、身体にとっては好ましい状態ではありません。
口臭や体臭がいやなニオイになる
ケトン体はツンとした嫌なニオイがする物質で、体臭や口臭がキツくなってきます。
健康維持の妨げに
最も危険視されるのは、体の健康維持の妨げとなってしまうことです。
血液は普段、弱アルカリ性に保たれているのですが、ケトーシス状態になると血液が酸性に。するとウィルスや細菌などから身体を守る免疫機能が低下したり、癌をはじめとする様々な病気にかかりやすくなるといわれています。
ちなみに、このダイエット方法の原形を作った医師であるロバート・アトキンスさんは自らもアトキンスダイエットを実践していましたが、転んだだけで骨折し骨密度65%の骨粗鬆症と判明、死亡時には心臓病を患っていたそうです。
継続は不可能→やめるとリバウンド
このダイエットは病気や体調不良など様々な理由で、続けることが困難になってきます。いつかはやめざるを得なくなる時が来るのです。
すると、すっかり太りやすくなった体はどんどん脂肪を蓄えます。炭水化物抜きダイエットを始める前よりも太ってしまう結果になってしまうかもしれません。
炭水化物抜きダイエットのやり方
炭水化物ダイエットと一言でいっても、やり方は様々です。
ダメなやり方
一般的なやり方
一般的によく言われているやり方は、
「炭水化物を抜けば、何をどれだけ食べても良い」というものです。
アトキンスダイエット
炭水化物抜きダイエットのやり方は様々、でも元々はアメリカのロバート・アトキンス医師が開発した「アトキンスダイエット」が元ネタとなっていて、アトキンスダイエットには正式なやり方が存在します。
でもこれを実践していたアトキンス医師自身が、健康を大きく害しています。
オススメの(正しい)やり方
上記のやり方ではやはり、痩せても健康を害する危険があります。そしてやめれば激しいリバウンド、という結果が待っている可能性が高いです。
ですので当サイトで は、炭水化物を
「抜いたり、極端に減らす」のではなく、
「摂りすぎないようにしたり、控えめにする」
というやり方を「正しいやり方」として、どうしても実践したい人にはオススメしています。
主食は抜かずに、「減らす」
炭水化物は抜いてはいけません。野菜などにも少しは含まれているので、それで十分では?という考え方もありますが、それでは栄養のバランスが悪いです。少しでもいいので、主食となるご飯やパンは食べるようにしましょう。
抜く(減らす)なら砂糖やパンを中心に
砂糖はもちろん、小麦を「粉」にした食材は吸収が速く、血糖値が急上昇しやすいです。すると摂取エネルギーに「余り」が出て脂肪になりやすいです。
炭水化物を多く含む食材を減らすなら、
砂糖を使った食品や、穀類を「粉」にした食材は摂らないようにして、
ニンジンやジャガイモ、ご飯など栄養価も高く消化吸収が「速くない」食材は「減らしすぎない」ようにしましょう。
食事は1日3回以上
1日に食べる量が同じなら、1回でも3回でも同じ・・・ではありません。
特に糖質(炭水化物)は、
一度にたくさん摂ると余って脂肪になります。
足りないと身体が悲鳴をあげます。
ですので、糖質(ブドウ糖)が
- 血液中や貯蔵庫(肝臓)から枯渇しないよう、
- また余りが出ないよう、
少しずつこまめに摂るといいですよ。
炭水化物を「減らす」やり方にも弱点があります
炭水化物を「抜く」やり方は、体重減少の効果が高い方法です。その「代償」として健康被害、美容被害、リバウンドの可能性が高く、また周囲に嫌なニオイ(ケトン臭)を放ちます。
炭水化物を「減らす」やり方は「抜く」やり方と違って、美容・健康被害やリバウンドの心配も少なく、嫌なニオイも出ません。それでもいくつかの「弱点」があります。
ダイエット効果は「炭水化物抜き」よりは弱い
炭水化物「抜き」ダイエットは、脂肪を積極的に消費するダイエット方法です。
炭水化物を「減らす」やり方は、脂肪を「溜め込まないようにする」方法で、脂肪の消費量が格段にアップする方法ではありません。
また、「筋肉」が減らないのはいいことですが、「重さ」のある筋肉が減らないため体重計に数字として現れにくいのも弱点の一つです。
主食を減らすことで、栄養バランスが悪くなる
ご飯やパンなど「主食」には炭水化物以外にもいろんな栄養が含まれています。また、意外にも「食物繊維」も多く含まれています。
主食を減らしてしまうことで、これらの栄養の摂取量が減ってしまうわけです。
主食を減らすなら、他の食べ物でキチンとバランスをとりましょう。バランスの悪い食事は脂肪の燃焼効率も悪くなります。特に、食物繊維はダイエットの味方ですので、不足させないことをオススメします。
もっといいダイエット方法はないの?
できれば、
- 栄養バランスのよい食事
- 適度な運動
- 規則正しい生活習慣
をオススメしたいところですが…。
続かなければ結局は痩せることはできません。
当サイトのおすすめダイエット方法
脂肪を燃焼しやすい体を作るなら「筋トレ」。
脂肪を燃焼させたいのなら、「有酸素運動」です。
もし「腸内環境」に自信がないのなら、まずは腸内環境を正常化することから始めてみては?
(食事はよく噛む、食べ過ぎない、発酵食品、乳酸菌、ビフィズス菌など)
頑張りたくない、ラクして痩せたい、とお考えなら、一番ラクなのはやはり「食事制限」でしょう。でもその際は「栄養バランス」は最大限に気を付けてください。